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セールスコピーライター・マーケター 郡司拓也のブログ

ライティング

影響力の武器を要約 | セールスやマーケティングに応用する方法

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6つの影響力の武器とは?現代広告の心理技術101版の実践的活用術を公開

あなたにはこんな経験がありませんか?

  • 本来、買うつもりがなかったに、「限定」と書かれていたのでつい買ってしまった
  • よそでも売っている商品なのに、なぜかあの人(お店)だけから買ってしまう
  • スーパーで試食したら「買わなきゃいけない」ような罪悪感にかられて、買い物かごに入れてしまった

もしそのような経験があれば、それは、今回紹介する「影響力の武器」による作用があったからかもしれません。

この影響力の武器とは、社会心理学者のロバート・チャルディーニによって提唱されたものです。人の心理に作用し、行動を操作してしまう見えない力のことで、「影響力の武器」という著書で紹介されています。

原初の初版は1988年、日本語訳は91年に刊行という、かなり古い本です。消費者の心理と行動について詳しく解説された本書は、当時のマーケッターに衝撃を与え、今も読まれ続けている名著です。

影響力の武器については、マーケティング・コピーライティングの名著である「現代広告の心理技術101」中でも紹介されています。要約されてコンパクトにまとめられ、マーケティング、コピーライティングでの実用を意識して書かれています。

そこで、今回は現代広告の心理技術101の方の文例を紹介しつつ、影響力の6つの武器を要約してお伝えしていきます。

影響力の武器が作用する身近な例

この影響力の6つの武器をうまく使えば消費者の行動を操ることができます。特に効果的なのは、「熟慮しない買い物」です。要するに、「なんとなく買う物」です。

逆に、慎重に検討を重ねて買うものについては、やや効果が落ちます。とはいえ、そのような慎重な買い物についても一定の効果があります。

影響力の武器が働いている例をひとつあげます。あなたは、行列が並んでいるラーメン屋と、一人もお客がいないラーメン屋、どちらに入りたいですか?行列のできる方ではないでしょうか?

こうなるのも、影響力の武器の1つが働いているからです。「行列ができる=味が美味しい」というのは、論理的に考えると正しくありません。行列ができるのは、「そこにしかラーメン屋がないから」または、「単に回転が悪い」からかもしれません。

しかし、「行列ができるラーメン屋を選んだ方が正しい選択」とどうしても人間は考えてしまいます。

逆の選択をすることは、心理的に抵抗を感じます。一人もお客がいないラーメン屋に入るのには勇気がいります。

なぜでしょうか?

人間は、考えるのが嫌いです。エネルギーを使うから。ですから、手っ取り早く正解を求めます。影響力の武器は、人間がてっとり早く選択をするための『手がかり』というわけです。

影響力の武器がなぜ存在するかというと、「エネルギーを使わずに、より良い選択ができるように人間が身につけた」からなのです。

  • 他の人が欲しがっているものはいいもの
  • 仲がいい人から買ったものの方が安心
  • 専門家が言ってることは正しい
  • 何かをもらったらお返しをした方がいい
  • 言ったからにはやらなくては
  • 数が少ないものは貴重

これがどれも、もっともらしく感じるのは、影響力の武器が原因です。
これまでの人間の歴史上、「上のように行動した方が、メリットが多かった」から、この影響力の武器が人間の心理に刻まれたのです。

6つの影響力の武器を解説

さて、前置きが長くなりましたが、影響力の武器とは、以下の6つです。

1.社会的証明(Comparison)−仲間の影響力は絶大だ。
2.好意−バランス理論(Linking)「あなたのことが好きだから・・・・・このお金を使っていいよ!」
3.権威(Authority)−信頼性の謎を解く。
4.返報性(Reciprocation)−因果応報。利益は自分の元に戻ってくる。
5.コミットメントと一貫性(Commitment/Consistency)−「封じ込め」作戦。
6.希少性(Scarcity)−限定品。今すぐゲットしよう!

■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』92Pより引用

それぞれについて詳しくみていきましょう。

社会的証明

社会的証明という言葉はちょっと小難しいですが、一言で言えば「みんなが選んでいるから正しい」というやつです。

  • 行列のできるラーメン屋
  • 流行りものの服
  • 塾生の多い学習塾
  • テレビで特集されたファッション
  • みんなが入っている生命保険

こういったものは魅力があるように感じます。他の人も選んでるからです。

この影響力を利用するには、「みんなはそうしているのに、あなたはそうしないんですか?」と言うだけで十分です。

例を挙げてみましょう。

  • このパスタ屋さんはブログやテレビでよく取り上げられ、いつも行列ができています。
  • 86%の会員さんはシャツを買っています。あなたは買わないんですか?
  • 社会人になった方には、ほとんどの人がまずこちらのコースの保険を選んでいただいています。みんなこちらのコースから始めていただいていますので、まずはこちらのコースがあなたにはおすすめです。
  • お店にきた半分以上の方がこの商品を買って行かれます。あなたもいかがですか?

人は取り残されたくないと思っています。あなたはその取り残されたくないという恐怖をあおってあげるだけでものを売りやすくなります。

好意

「店員や営業マンが感じがよかったから」という理由でものを買ってしまった経験はありませんか?

人は、好意を抱いてしまった相手からのお願いを断りにくい生き物です。恋愛感情ほど強い必要はありません。(もちろん恋愛感情くらい強ければものが売りやすいですが)

感じがいいとか、なんとなく好印象という程度でも効果を発揮します。ですから、店員は「笑顔で感じよく」とトレーニングされるんです。

イケメンや美女が得するのはこれが原因です。実際、イケメンや美女は収入の平均が高いという研究結果があります。

また、人は他人から好意を持たれると、その人に好意を持ちやすくなります。

「あれ…なんか好きって言われてから気になるようになっちゃった…これが恋…?」ってやつです。

つまり…あなたが好意の影響力を行使しようと思ったら、下手に好意を持たせようとするより、まずはあなたが好意を示すことです。

(笑顔で感じよく、親しみ深くするということです。いきなり「好きです」とか言わないでください。引かれます。)

それだけで、好意の影響力をあなたは味方につけることができます。

さて、見た目がいい異性に対しては好意を持ちやすいというのはよくわかると思います。しかし、実は、同性に対しても効果があるのです。

もうひとつ興味深い事実を話そう。大方の予想に反し、男性は他の男性の写真に魅力を感じ、女性はほかの女性の写真に魅力を感じるのである。

■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』94Pより引用

意外ですよね?

心理学でいうところの「同一化」と言う現象で、あなたが男性であればかっこいい男性、女性であれば綺麗な女性に実は目が行ってしまうのです。

ですから、広告には必ずしも異性を使う必要はなく、むしろ異性を使うと逆効果になる可能性もあるということです。

権威

あなたが病院に行ったら、医者が言ってることは信じますよね。

「お前の言うことは信用できない!俺の考えはこうだ!」と診察室で騒ぎ始めたら追い出されます。

人はほぼ無条件で医者の言うことは聞きます。

なぜでしょうか?

医者だからです。お医者さんは偉いのです。なぜか?「権威」があるからです。

お医者さん、学者、技術者などなど。

こういった専門知識があるとされているいわゆる「専門家」は、ある影響力を持っています。これらの人たちのコメントは信用されやすいのです。これが権威の威力です。

普通のなんでもない人と、専門家の意見だったら、専門家の意見を尊重しますよね。現代広告の心理技術から引用すると、

本当にその職業に就いていたり、知的だったり、信頼できる人物が宣伝すると、消費者はその製品について調べる手間が省け、その主張を事実として受け入れる。

■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』95Pより引用

ということです。

面白いことに、権威は「本当にその職業に就いていなくても」発揮されます。

どういうことかというと、医者の役を演じた俳優を医者の格好をさせて広告に出すだけで医療や健康関連の商品の反応が高まります。不思議ですよね、消費者は理性的には「俳優だ」と認識しているものが無意識化では「医者だ」と認識されるということです。

返報性

「もらったからにはお返ししなきゃ」と思うのが人間の心理です。心当たりありませんか?

スーパーで試食をしたら、何かを買わずにその場から立ち去るのは少し後ろめたいですよね。挨拶をされたら挨拶し返さないとなんとなく気持ち悪い気分になります。頼みを聞いてもらったら、何かをしてあげたくなります。

これらは返報性という影響力が働いているからです。

この影響力の武器を利用するのは簡単です。何かを無料であげればいいのです。

*犬のトリマーなら、ノミ取り用首輪を無料でプレゼントする。
*パン屋なら、ライ麦パンやチョコレートチップクッキーを無料でプレゼントする。
*自転車店なら、ミネラルウォーターを1本無料でプレゼントする。
*靴修理店なら、無料で靴を磨く。
*空手教室をやっているなら、1ヶ月の無料レッスンを提供する。
*印刷業者なら、コピー50枚を無料にする。
*花屋なら、花束を無料でプレゼントする。
*タバコ屋なら、ライターを無料でプレゼントする。
*ピザ店なら、1枚サービスしてあげる。

■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』98Pより引用

他にもいろいろ方法があります。

無料でなにかをプレゼントした後に有料の商品を売り込む手法を2ステップマーケティングといいますが、2ステップマーケティングはこの返報性を利用したマーケティング手法です。

あなたは、どこかのブログなどで、メールマガジンの申し込みを促すページを見たことがあると思います。メールマガジンに登録すると、たいてい、なにかしらの無料のプレゼントがついてきます。

恋愛のメルマガなら、恋愛テクニック上達のPDFや音声が付いてきます。ダイエットのメルマガなら、ダイエットテクニックのPDFや音声などが提供されます。

これは、返報性を狙って、のちの有料商品を売り込みやすくするためです。そうすれば、かなりセールスの難易度を下げることができます。商売するのであれば、この手法を使わないのは正直もったいないと言えます。

コミットメントと一貫性

人は「お前言ったこととやってること違うじゃん」と言われたくない生き物です。言行不一致の人は信用されないからですね。

コミットメントという言葉は「約束」や「誓約」という意味です。コミットしたらその通りに行動しないとストレスを感じてしまうのです。

ですから、人は何かを宣言したら、その通りに行動しようとします。これは、物を買わせるのに非常に有効なテクニックです。

「ネットビジネスで成功したい」と言う人に、うまく「ネットビジネスで成功するためには学習のためにお金を払うべき」と言わせることができたら、もうその人に有料のコンサルやビジネススクールといった商品を売り込む準備ができたということになります。

コピーライティングも同様です。物を売る際には、このようなコミットメントを積み重ねて、相手が断れなくなるように包囲するのです。自分で言ったことほど、自分の行動を縛るものはありません。

現代広告の心理技術101にとてもわかりやすい例があったので紹介します。

たとえば、誰かがドアをノックしてこう言ったとする。
「こんにちは!地域の犯罪を減らして私たちの安全な生活を守るため、嘆願書に署名してもらえませんか?」
考えるまでもない。その場で署名するだろう。あなたは立場を明らかにしたのだから、相手はその考えを貫くものと期待する。そしてもちろん、あなたはそうするはずだ。すると嘆願者はこう叫ぶ。
「素晴らしい!ありがとうございます。ところで近隣を監視するには、送受信兼用の無線機を買わなければなりません
課税控除の対象となりますがら、3ドルの寄付をお願いできますか?」

ああ、あなたは包囲されている・・・・・。あとは唾をゴクリと飲み込み、ポケットに手を伸ばし、現金を渡すしかない。今やあなたは研究室のネズミと同じ。期待通りに行動する。(1)その目的を支持しない(当然、寄付するしかない)か、(2)嘆願書の署名を依頼されたのはこれが初めてではないというものでもない限り、3ドルの寄付しないのは相当難しい。あなたはサインしたので、嘆願者はあなたをすでに封じ込めてしまっている。

■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』99Pより引用

似たような立場になったことはありませんか?あるとするなら、この時の断りにくさを、あなたも承知しているはずです…

それだけ、コミットメントと一貫性は、強力な効果を持っています。セールスやコピーライティングについても積極的に使っていくべき武器と言えるでしょう。

希少性

この影響力の武器を利用するのは簡単です。「限定〇〇名」「あと〇日間だけ」と言うだけです。

人は、希少なものほど価値があると感じます。冷静に考えれば、希少だから美味しいとも優れているとも限らないんですが。ただ単に、「少ないこと」自体が価値があるんです。

希少性はものの価格を爆発的に上昇させることがあります。

例えば、日本のロックバンドのELLEGARDEN。知らない人のために説明すると、人気絶頂時に活動休止して、最近再活動を始めたバンドです。

再結成と同時に復活ライブがありましたが、この復活ライブのチケットが大変人気で、あっという間になくなってしまいました。

すると何が起こったか?転売する人が出てくるのです。最終的にどれくらいの値段で取引されていたかと言うと、なんと『60万円』!

希少なものについては、金に糸目をつけず欲しがるひとがいるのです。(もちろん一定の人気があるものについて)

ですから、物を売る時の最後の一押しには、この希少性をうまく使うべきです。希少性は、迷っているお客の背中を押す効果があります。

メルマガの誘導。有料商品のセールス。店頭販売。あらゆるところで、「数や期間を限定している」とお客に知らせましょう。そうするだけで、あなたのオファーの反応が上がります。

影響力の武器でセールスやマーケティングがうまくいく

さて、今回は「現代広告の心理技術101」中で紹介されている「影響力の6つの武器」について解説しました。(もともとは「影響力の武器」で提唱)

この影響力の武器は、人間の無意識に強く作用するので、誰であれこの影響力から逃れることはできません。

もしあなたが、自分の書いたコピーや、セールストークに力強さがないと感じるのであれば、この影響力の6つの武器がきちんと盛り込まれているか点検してみましょう。そうすれば、必ず反応が高まります。

ちゃんと本書を読んで理解を深めたい方はこちらから購入可能です。

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