消費者の行動をコントロールしたいと思ったことはありませんか?
実は、消費者の行動は、5つのステップにモデル化できるということをあなたはご存知でしょうか?
もし、あなたがこの5つのステップを知らないのであれば、消費者の心に全く響かない、てんで的外れのマーケティング・セールスをしているかもしれません。多くの広告費を使って、手間と時間を費やしてもさっぱり成果が出ない状況に陥ってしまうかもしれません。
マーケティング・コピーライティングの名著である「現代広告の心理技術101」中では、消費者の行動モデルが紹介されています。これが理解できれば、あなたは効果的で効率的な商品の販売戦略が立てられるようになります。現代広告の心理技術101中で紹介されている「理論を超えたモデル(Transtheoretical Model)(TTM)」について解説します。
*「理論を超えたモデル」という言葉が変なので、個人的には本書の誤訳だと思ってます笑
ものを買うときに消費者の心の中で起こっていること
あなたが書店で新しい本を買うときのことを思い出してください。あなたはその書店に行くまでは、その本のことは知りません。書店で初めて平積みにされているその本に出会います。
初見の本に出会ったら、いきなり何も考えずレジに持っていきますか?「7つの習慣…初めて見るな…買った!」「ポプテピピック…買った!」みたいに。きっとそれはないですよね。
おそらく、手にとってみて、内容をパラパラと確認するはずです。「うーんこれは役に立つかもしれない」そんなことを思いながら読むはずです。
筆者は誰か?推薦の言葉は?表紙のデザインはいいか?読んでていて面白いか?役に立つか?手にとってあなたはそれらの要素を吟味します。
では、内容を確認したらどうしますか?
きっと、値段を確認して、頭の中で「これを買うべきかどうか」「今月のお小遣いはまだ残っているか」といった検討を始めるのではないでしょうか?
そして、頭の中で「これは買うべき」という答えが出て初めて、レジにその本を持っていくのではないでしょうか。
大抵の場合、誰であれこれと同様の流れを経て本を買います。表紙だけ見ていきなり買う人もいなければ、まず買ってから初めて中身を確認する人もほとんどいません。
人が物を買うまでに経る流れはモデル化できる
これは、本でなくても食品でもサービスでも同じです。人が物を買うときの流れというのは、決まっています。つまりモデル化できるのです。
「物を買う流れがモデル化できる」のであれば、「物を買わせるための流れもモデル化できる」と思いませんか?
はい。そうです。
お客に物を買ってもらうまでの流れのモデルこそが、今回紹介する「理論を超えたモデル(Transtheoretical Model)(TTM)」というわけです。要するに『段階的な説得』のことです。
消費者の行動を5段階のステップに分けるTTMとは何か
「TTM」はお客の知識と行動を5段階に分けているモデルです。その5段階のモデルについて詳しくみていきましょう。
現代広告の心理技術101からそのまま引用してきます。
第1段階 検討以前ーこの段階の人はあなたの商品の存在を無視しているか(「いったいブループバーガーって何だ?」)、まだそれを欲しいとは思っていない。
第2段階 検討ーこの段階の見込み客はあなたの商品を確実に意識していて、それを試してみようと思っている。「うーん、いつかあのブループバーガーを食べてみなくては」
第3段階 準備ー企画段階である。あなたの見込み客はあなたから商品を買おうと考えているのだが、その商品にどんなメリットがあるのかもっと知りたがっている。「ブループバーガーを買いたいなあ…とてもおいしそうだけど、中には何が入っているのだろう?ヘルシーなのかな?味はいいかな?値段は?」
第4段階 行動ー成功だ!あなたの見込み客は待ち望んでいた行動、すなわち購入に至った。「はい、これがクレジットカード。ブループをください!」
第5段階 維持ーあなたの見込み客に至って欲しい段階だ。ここまで来れば商品は日常生活の一部担っている。見込み客はあなたのブループバーガーを当たり前のように買い続ける。自分のバーガーになっているのだ。要するに、「バーガーといえばブループ」なのである。
■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』72Pより引用
このように、「お客は『検討以前→検討→準備→行動→維持』という流れをたどる」というのがTTMの考え方です。
段階によってアプローチを変えなければならない
それぞれの段階でお客にかけるべき言葉は全く異なります。
ブループバーガーを全く知らない人に、「ブループバーガーの値段は360円です。」とか言っても「はぁ?」となるのがオチですよね。
逆に、「美味しそうだから買おうかな〜」と思っている人に「ブループバーガーをご存知ですか?」と言ってもあんまり意味がありません。
ですから、売り込みや広告については、「お客が今どの段階にいるのか?」を意識して組み立てる必要があります。
全ての段階の消費者を囲いこむ方法
段階に応じたアプローチをしなければいけないという話を聞いて、「消費者が今どの段階なんかなんてわかるの?」と思ったあなたは賢い。
はい、大抵の場合その通りです。目を見て「こいつ、2段階目やな・・・!」とかならないですよね。
ですが、その対策はあります。
その方法も現代広告の心理技術101中に紹介されています。取り組み方は次の2つです。
1.あらゆる段階の見込み客に呼びかける広告をつくる。すると見込み客はどの段階にいようともあなたの商品に注目するようになる。知識がほとんどない商品について相手が情報をたっぷりもらえるように、あらゆる詳細情報を入れておくこと。
2.ある期間、第1段階から第5段階まで進んでいく広告シリーズをつくる。第1段階では商品を市場に紹介する。一連の広告は直前の広告を踏まえて作成されており、主な特徴とメリットが際立っていくようになっている。
■2018年 ダイレクト出版(株) ドルー・エリック・ホイットマン 『現代広告の心理技術101』73Pより引用
と、いう方法があります。
(1)については、雑誌の裏側にある怪しいパワーストーンとかの広告を見ればわかります。必要なことは全て書いてあります。効果、値段、買い方、推薦の声、材料、販売者…。お客がどの段階であれ、購買意欲を高めるための情報が書かれているってわけです。
「あんな怪しい商品買うやついるのか?」と思うかもしれませんが、買う人がいるからあの手の広告がなくならないのです。
(2)については少しイメージしにくいかもしれません。そこでイメージしてもらいたいのが、「映画のCM」です。
映画のCMは同じタイトルでもちょっとずつ内容が変わります。最初はよく内容がよくわからないけど、タイトルと雰囲気がなんとなく伝わるCM。そして俳優陣や、詳しいストーリーの紹介のCM。公開直前や公開後は、実際に見た人たちの感想。ちゃんと段階踏んで購買意欲が刺激されるようになっているのです。
このように、お客を段階踏んで購入・リピーター化までの流れに誘導することを意識すれば、適切な商品の宣伝方法(プロモーション)ができるようになります。
あなたがなんらかの商品を売り込みたいのであれば必ず意識しておかなくてはなりません。
ついでに解説「お客の3つの壁」
似たコピーライティングの考え方に、『お客の3つの壁』というものがあります。これは現代広告の心理技術101では紹介されていませんが、関連した重要な知識ですのでせっかくなので紹介します。
お客はコピーを読んで購買に至るまでに、『3つの壁』を乗り越えなくてはいけないというものです。
その壁とは、
- 読まない
- 信じない
- 行動しない
というものです。
順序はちゃんと決まっているので組み替えちゃダメですよ。
まず、お客は広告やコピーを読みません。忙しいし、その必要性を感じていないからです。
ですから、まずはコピーライティングはまず「読ませる」ためにヘッドラインを工夫しなければいけません。だからメリットや新情報を含んだキャッチコピーを考えたり、ギョッとするような言葉を使って目を止めようとするのです。
さらに、読んでもらっても、その商品の素晴らしさをなかなか「信じて」くれません。そのため、証拠、理由、お客の声やデータを示して信じてもらう必要があります。
最後まで読んでもらっても、「行動しない」という最強の壁があります。「あー面白いコピーだったな」と思ってもらっても失敗です。コピーは購入してもらうために書きます。コピーは詩作ではありません。
そこで、返金保証や具体的行動のステップについて書いてお客の行動を後押しするのです。
重要なのはお客に購入までの階段を登らせること
「TTMとか3つの壁とかややこしい」と思ったかもしれませんが、大事なのは、「お客は購入に至るまで段階的に状況が変わる」ということです。TTMであれ、3つの壁であれ、大事なのは、「この言葉は、どの段階にあるお客に効果がある言葉か」というのを考えて書くことです。コピーライターが書く文には、全て意図があります。意図がない文章を書くのは、ただの作文です。
さて、今回は、『理論を超えたモデル(TTM)』について解説しました。
お客を購入まで至らせるための重要な考え方です。
これを意識すれば、どのようにコピーを組み立てていったらいいかがわかります。『理論を超えたモデル(TTM)』という言葉は覚えなくてもいいですが、この考え方はぜひとも理解しておきましょう。
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